愛宕神社のケヤキ林 晦日町 楯岡 村山市 山形県
山形県指定天然記念物
愛宕神社の境内地は、楯山山麓の西端の突角部分が、切り通し道路の開通によって切り離されたことにより、市街地に残された土地である。もともと楯山の一部であるこの土地は、岩盤と岩塊からできており、表土がほとんど無いため、樹木の生育には適さない環境にあるが、唯一、ケヤキだけが順調に生育し続けている。これは、岩塊の隙間に侵入して根を張るケヤキの遺伝的な特性と、この土地の岩盤が保水性と通気性を備えていたことによるものと考えられる。自生するケヤキは大小合わせ12本あるが、最大の御神木は幹回り3.1m、樹高20mに達し、樹齢は220年ほどと推定される。露出した巨大な側根をあたかも大蛇のように這わせ、岩盤の上に悠然とそびえる御神木の姿はまさに王者の貫禄を示している。なお、御神木以外のケヤキはずっと若く、おそらく御神木の種からできた子供と考えられる。愛宕神社のケヤキ天然林は巨大老樹ではないが「三島ケヤキ」のように巨岩を抱きかかえるものや「相生ケヤキ」のように「けんいん根」、「支持根」を実物標本として現すなど、岩塊の隙間に侵入し、根の肥大により岩を割り進む根部の生態を目のあたりに観察できる好資料であり、その学術的価饒も大きい。   環境庁・山形県自然保護課