矢橋道は、近江八景矢橋帰帆で著名な矢橋の渡しへの道で、東海道の脇道であった。瀬田橋経由の陸路に比べ、矢橋港から湖上50町ほど(約5.5km)の大津への航路は、「勢田へ回れば三里の回りござれ矢橋の舟にのろ」とうたわれたように、先を急ぐ旅人が重用するところとなり、これにつれて矢橋道も大津への短捷路として往来が激しくなった。道は、東海道筋の矢倉姥ヶ餅屋角で東海道と分かれ、大塚、川ノ下を経て、矢橋に至った。なお、草津名物姥ヶ餅屋は明治以降移転し、名勝矢橋帰帆の絶景も一変したが、姥ヶ餅屋旧地には寛政10年(1798)建立の道標が現存、一方矢橋港跡にも弘化3年(1846)建立の常夜灯が現存するほか、矢橋には源頼朝の伝説ゆかりの鞭崎八幡宮、僧最澄創建で足利善詮再建の寺伝を有す石津寺、川ノ下には若宮権現(猿田彦神社)、大塚には正光寺などの古社寺がある。 草津市教育委員会
  正光寺 西矢倉3丁目 草津市 滋賀県