瀬田廃寺(桑畑廃寺)は、瀬田丘陵から西北方向に延びる低位段丘上にあります。発掘調査により塔、金堂、回廊、僧坊などの一部が確認されています。五個の大きな礎石は塔の礎石ですが他に礎石が見つからなかったのでどのような塔であったかは不明です。この塔跡の北側(現在名神高速道路で削られている所)に金堂跡があり、塔と金堂が南北に配置する伽藍形式は、四天王寺式と呼ばれるものに相当すると思われます。この寺跡は近江国府の西辺の真南にあたる位置にあり、その位置関係などから、近江国分寺跡である可能性が高いとされています。奈良時代に建てられた近江国分寺は延暦4年(785)に焼失し、瀬田川の対岸、国分の地に移されました。  平成3年2月 大津市教育委員会
 瀬田廃寺跡 野郷原1丁目 大津市 滋賀県