大津市瀬田から草津市南東部にかけて広がる瀬田丘陵には、古代の窯跡や製鉄所跡か数多く存在しています。 野路小野山製鉄遺跡は、京滋バイハス建設に伴う発掘調査において、製鉄炉が10基、燃料用の木炭を焼く木炭窯が6基、大鍛冶跡1基、柵に囲まれた管理用建物が1棟、工房跡11棟など、古代の製鉄にかかわる一連の遺構がそろって見つかったことから、昭和60年に国の史跡に指定されました。発見された製鉄炉は、現在もバイパス高架下「こ保俘されています。 平成12年度「こは2号炉の調査を行い、本遺跡の製鉄炉は長方形箱型炉であることが明らかになりました。また京滋バイパスの北側で実施した平成17年度の調査では、新たに製鉄炉4基が見つかっています。 本遺跡は、製鉄炉を整然と並べ、きわめて良質の鉄鉱石を用いるなど、周辺の製鉄遺跡と比ぺて格段の差が認められることから、地方の有力者が私的に営んだものではなく、国家や近江国庁が直接管理した、官営の製鉄所であった司能性か高いといえます。また、同時代に行われた紫香楽宮や国分寺造営などの国家的な大建設事業とも深く関係すると推測されます。 日本古代の製鉄技術史上のみならず、古代近江の歴史を解き明かす上でも、きわめて貴重な遺跡であるといえるでしょう。草津市教育委員会
 国史跡野路小野山製鉄遺跡 野路町小野山 草津市 滋賀県