檪野(いちの)観音道(大原道)道標 (土山町山中)
 山中地区の旧東海道沿い、現在は第二名神高速道路土山橋の橋脚が建てられているこの付近から南西に伸びる道がある。この山道は、古くから東海道と神村(甲賀町大字神)・檪野村(甲賀町大字檪野)方面をつなぐ生活の道として利用され、大原道とも呼ばれていた。 当時、道標は東海道との分岐に建てられていたが、幾度の道路整備により、現在はここ一里塚緑地に移転されている。この道標には「いちゐのくゎんおん道」、側面には、檪野寺本尊の十一面観音の慈悲を詠んだ、虚白の「霊十方世にはえぬきや大悲心」という句が刻まれており、檪野の檪野寺への参詣道でもあったことを伝えている。 自動車交通の発達にともなう道路の整備が進み、山つたいに広がっていた生活の道はほとんど使用されなくなったが、わずかに残る道標は、道を通しての人々の交流を物語っている。 平成15年3月 土山町教育委員会
山中一里塚跡 土山町山中 甲賀市 滋賀県