竹の切り口を示す「丸二つの組合せ」の登録商標に、「赤万能即治膏」・「無二即治膏」・「萬金丹」・「真妙円」などの膏薬の名前が書かれた古い看板を掲げる鈴木薬局は、300年以上も製薬業を営む旧家である。 当家は、代々勘三郎の名を受け継ぎ、現在の当主鈴木友造で第十一代を数えるが、同家に伝わる家系ヅによると、第四代勘三郎高春が、寛延三年(1750)二月に蘭学勃興の地長崎に赴き、漢方を伝授されたといわれている。 当家の建物は、東海道沿いの古い家の中でも一際がっちりとしたものである。これは、第六代勘三郎高光が、嘉永五年(1852)に建てられたものであることが、家系図によってわかる。玄関には、約60kgの重い木製の上げ下げ奴があり、東海道に面した家の表には連格子がはめられ、六畳から十二畳の部屋が奥に続き、そのうちのひとつの欄間には、厚い檜の近江八景を形どった一枚彫りがある。また、土蔵とともに膏薬をつくった作業場があり、薬研などの貴重な道具が保存されている。
鈴木薬局(旧鈴木製薬所) 赤堀1丁目 四日市市 三重県