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| 標高３７８ｍの峠で、東海道は三子山と高畑山の鞍部を通っている。都が奈良盆地にあるときは、伊賀から加太峠を越え伊勢へ入る経路（後に大和街道と称す）が東海道であった。しかし、仁和２年（８８６）近江から鈴鹿峠を越え伊勢へ入る阿須波道と祢する新道が開かれ、同年斎王群行がこの新道を通って伊勢神宮へ向かうよう定められたことから、この鈴鹿峠越えが東海道の本筋となった。峠越えが開通して間もない昌泰元年（８９８）、伊勢神官ヘ下った勅使が山賊に襲われている（『伊勢公卿勅使雑例』）。建久５年（１１９４）には源頼朝が近江国山中の地頭山中氏に盗賊の鎮圧を命じていることや（『山中文書』）、『今昔物語集』の蜂を飼う水銀商人が山賊を退治する説話、『太平記』の坂上田村麻呂と戦った鈴鹿御前の話などから、古代から中世にかけて山賊が横行していた様子がうかがえる。 また、「鈴鹿山」は伊勢国の歌枕として著名で多くの作品が残されている。 （中略） このほか、峠頂上には磐座（いわくら）と推定される「鈴鹿山の鏡岩」や、坂上田村麻呂を祀った田村神社旧跡があり、これらは峠祭祀に関わるものと考えられる。江戸時代、鈴鹿峠は「東の箱根峠、西の鈴鹿峠」といわれ、松葉屋・鉄屋・伊勢屋・井筒屋・堺屋・山崎屋の茶屋が建ち並び賑わっていた。現在でもこれらの茶屋の石垣が残され、往時の情景を偲ぶことができる。 平成１９年３月 亀山市教育委員会 |