釈迦如来の御弟子で仏典の編集護持に功績のあった方々です。江戸時代中期(天明年間)の彫造にして作者不詳形相悉く神異非凡の作であります。此の羅漢尊者の群像は島崎藤村の小説「桜の実の熟する時」の最後の場面になっています。

興津の清見寺だ。そこには古い本堂の横手に丁度人体をこころもち小さくした程の大きさを見せた青笞の蒸した五百羅漢の石像があった。怒ったり坐ったりして居る人の形は生きて物言ふごとくにも見える。 誰かしら知った人に逢へるといふその無数な彫刻の相貌を見て行くと、あそこに青木が居た、岡見が居た、清之助が居た、ここに市川が居た、管も居た、と数えることが出未た。連中はすっかりその石像の中に居た。以下略
 五百羅漢石像 清見寺 興津清見寺町 清水区 静岡市 静岡県