俳人 坪井杜国 杜国は名古屋御園町で米穀商を営んでいた俳人で、芭蕉門下尾張五人衆の一人である。 貞享2年(1685)尾張国で御法度とされていた米延商(空米売買)の罪により、家財没収の上、領地追放の刑に処せられ、ここ保美の里に隠棲した。 杜国を夢に見て泣くというほど杜国を愛した芭蕉は、貞享4年「笈の小文」の旅の途中尾張の鳴海より門弟越人を伴い、わざわざ25里の道を引き返し、愛弟子の閑居を訪ねその咤住いをなぐさめている。 世をはばかり、落槐の身をなげきつつも、余生をこの地におくった杜国は、元禄3年(1690)3月数奇薄命の生涯を終えた。 句碑文 旧里を立去て伊良古に住待りしころ 春ながら名古屋にも似ぬ空の色 杜国 田原市 |