神島灯台 神島 鳥羽市 三重県
「阿波の鳴門か音戸の瀬戸か伊良湖度合が恐ろしい」と歌われ日本の三関門の一つになっている伊良湖水道は、昔から海の難所と言われ明治初年頃は夜間の航行は危険でした。このため航行船舶の安全を図るため、明治42年に灯台の建設が始まり明治43年5月1日に点灯しました。(略)小説の中では、愛を成就させた新治と初江の心情が描かれています。
「レンズの影は丸い周囲の木壁をめぐり、明治時代の燈台の特徴をなすチンチンチンチンという廻転音を伴いながら、その影は窓に顔を押しあてている若者と許嫁の背中をめぐった。二人はお互いの頬を、触れようと思えばすぐ触れることもできる近くに感じた。その燃えている熱さをも。・・・・・そして二人の前には予測のつかぬ闇があり、燈台の光りは規則正しく茫漠とそれをよぎり、レンズの影は白いシャツと白い浴衣の背を、丁度そこのところだけ形を歪めながら廻っていた。」 新潮文庫『潮騒』P177より引用