お吉地蔵 お吉ヶ淵 河内 下田市 静岡県 
このお吉地蔵は故新渡戸稲造博士の篤志によって昭和8年8月に建立されたものです。博士は幕末開港の陰に一輪の花と咲いた薄命の佳人、唐人お吉の大の同情者の一人でありました。たまたま昭和8年7月16日にこのお吉ヶ淵に詣でお吉の霊を懇ろに慰めるとともにお吉地蔵の建立を思い立ったのでした。地蔵尊の背面には、博士の母堂の命日にあたる昭和8年7月17日とだけ刻まれてありましたが、今では摩滅して定かではありません。博士はこの地蔵尊の姿をみないまま、第五回太平洋問題会議に日本側の理事長として出席中、昭和8年10月15日にカナダで病に倒れ70歳の生涯を閉じました。 
       から草の浮名の下に枯れはてし 君が心は大和撫子
お吉思いのこの歌は博士の奥ゆかしい心情が偲ばれます。  下田市・下田市観光協会