毛利家本邸 多々良1丁目 防府市 山口県

旧毛利家本邸は、明治天皇から山口県内に本邸を構える承諾を得た公爵毛利家が、維新の元勲井上馨の協力を得て、明治25年(1892)この地に建設することを決定し、建てられたものである。工事は大正元年(1912)9月に着工し、4年弱の歳月を経て同5年に完成した。設計者は、原竹三郎である。本館は、江戸期の御殿造りの様式を取り入れた近代和風建築で、木曽御料林の桧、屋久島の神代杉、台湾の欅などの銘木・良材を用い、質の高い飾金具や金箔金粉を施した壁紙、照明器具など贅を尽くした意匠で仕上げ、大正・昭和天皇皇后両陛下の行幸の際には、宿泊所として供された。
 本館以外では、女中部屋、洗濯所、画像堂、門番所、石橋、本門など11棟のほか、附指定として供待、作事納屋、小使溜り、湯沸場など当時の建物や棟札、建築関係資料がほぼ現存しており、華族の生活実態を明らかにできる稀有な建造物群でもある。総面積は1983.65uに及ぶ。平成23年11月、「意匠的に優秀なもの」として、国の重要文化財に指定された。 平成25年3月   山口県教育委員会  防府市教育委員会