木野川渡し場跡 木野1丁目 大竹市 広島県
ここは安芸周防の国境にあつた西国街道の「木野川渡し」の場所である。市域を通る江戸時代のこの街道を東から西に進めば大野村鳴川から玖波村に入り、馬だめし峠を越えて玖波駅に着き、海岸沿いに黒川村、小方村下の町を経て、これから山手に方向を変え、苦の坂の急坂を登ってちぎり神社の側におり、木野川玲いに下ってこの渡し場に達する。
当代における渡し場附近の状態は、舟渡しの所で川幅12間(21.8m)、水深4尺5寸(1.36m)、徒歩渡りの所で川幅12間(21.8m)、水深2尺2寸(0.7m)程度であった。「舟渡し」は木野、小瀬両村から出された「渡し守り」が二人一組で昼夜交替して行ない、その費用は芸防両国で負担した。また、「渡し賃」は江戸時代の中期で武士階級が無料、その他の者が一人つき2文、牛馬が一頭につき4文であつたといわれる。この渡し場を渡れぱ周防国小瀬対であり街道を西に進めば関戸に至る。   大竹市教育委員会