中堀跡 基町 中区 広島市 広島県
この地は、かつて広島城内であった。広島城は1589(天正17)年頃から築かれ、明治初年まで存続した。城郭は約1q四方の広さで、今ものこる本丸・二の丸や内堀を含め、大小の郭(くるわ)と三重の城掘をめぐらしていた。その三重の城堀のひとつ中堀の一部、東西長204m部分が、この敷地内から発掘された。堀幅は約20m。堀の両際には石垣列が連なり、北側中央部には櫓建物が乗っていた石垣台の下半部ものこっていた。この石はその石垣台の石材である。発掘により、堀内からは、瓦や陶磁器、下駄・漆器ほかの木製品も出土し、三角州を長大に掘って堀をめぐらせたこと、工夫をこらして砂地へ直に石垣を積んだこと、柵沿いに建物が並び、当時の人々の暮らしがあったことなどが確かめられた。