正念寺 西久保町 尾道市 広島県
時宗来迎山引接院正念寺縁起 創建 天正2年(1574)  総本山神奈川県藤沢市遊行寺
 時宗の開祖一遍上人の跡を継いだ歴代の上人は「遊行上人」と呼ぱれ、全国を回って念仏の教えをひろめたので、各地に「時衆」と呼ばれる念仏集団が生まれ、その道場がつくられました。当山は第三十一代遊行上人によって開かれた念仏道場です。堂宇の創建には覚阿という時衆が力を発揮したと言います。
@本堂に安置する阿弥陀如来像は、全国的にも珍しい半跏坐木像で、鎌倉期の趣があります。
A下陣の格天井には花鳥、山水、人物等144枚の彩色画が嵌め込まれており、尾道市の有形民俗文化財に指定されています。これら奉納画の施主名には江戸中期の尾道を代表する商家の屋号が見えます。
B延命地蔵堂に安置されている等身大の
木造地蔵菩薩立像(本堂天井画と共に、尾道市民俗文化財に指定)は御利益あらたかで、日々参詣の人が絶えません。
Cまた、今も境内に滾々と湧く「延命水」は尾道随一の名水です。伝によると、この地域は昔、防地川西側の
西国街道に沿ったところでしたから、往来の旅人はこの清水に喉を潤し、堂に足を休めて湯茶の接待を受ける慣わしがあり、俗に「防地の茶堂」の名で親しまれていました。
この旅人への湯茶の接待に起因する「八朔施餓鬼会」や宗祖一遍上人以来の「おどり念仏」を今に伝える当山は、まさに時宗風の町寺というべき存在と言えましょう。