明治天皇八戸疑景天覧聖蹟 惣林橋 五戸町 三戸郡 青森県
明治天皇御小休所跡
現在地は、明治9年7月11日東北ご巡幸のためこの地をお通りになった節、八戸雪景を御覧になられた場所である。八戸村の士族や神官の人々が八戸をお通リにならないことを残念に思い、是非八戸の風景や活気ある港をお目にかけようと旧八戸藩士大沢多門や野崎和治らが中心になって槍沢の小村善太郎宅に仮宿し、大パノラマを作ってご一行をお迎えした。 この時の様子を、随行の近藤芳樹の日記には次のように著されている。
 「馬淵川の大橋は、長さ84間幅5間あるよしなり、また長者山の麗なる新羅の社、鮫蕪島の厳島の社などは、少し高き所なるゆえに、ことにあざやかに島陰に蒸気船をつなぎたり、巧みを尽したれどもみな物産の品をつどへてしたれぱ、大工細工の手をかりたる処は少しとぞ、その次に餅三かさね、こは七五三の数になぞらへて下を七斗がかり、中を五斗がかり、上を三斗がかりにせしいと大きなるものなればさし渡し六尺の四方にすえたり。その次に、このめ煎る仮舗を構へ、八戸の女ども十四、五よりはたちばかりのみめたちがうるはしき衣きて、供奉の人々にこのめししむ。」 
 この時の供奉の大官は右大臣岩倉具視・参議兼内務卿大久保利通・参議兼内務卿大隈重信・宮内卿徳大寺寓則・侍従長東久世通禧・内閣顧問木戸孝尤等総員213人馬61頭であった。各宿場には、近衛士官や騎兵達が道中の警備に当たっていた。この時のご巡幸から現代まで既に110余年の歳月がながれている。 平成元年11月 五戸町文化協会