黒沢尻町河岸の港が、藩米の積み出し港として栄えた頃、出船入船の船頭達を慰め、励ましたものに『おいらん松』がありました。石巻から北上川を遡ってきた「ひらたぶね」の白帆がおいらん松の下に現れると、男衆は荷下ろしの準備をはじめ、女達は酒樽の鏡を抜いてその到着を待ったといいます。あまりの美しさに、『おいらん松』と呼ばれたこの松は、用水の取入□工事のために、生えていた岩もろとも消え去り、そのつややかな姿を見ることができなくなりました。今回、観光施設整備にあたり元の場所に近い此の地にひともとの松を植え、往時をしのぼうとするものです。
     匂いやさしい 白百合の 濡れているよな あの瞳      
          想い出すのは 想い出すのは 北上河原の 月の夜

     宵の灯 点すころ  心ほのかな 初恋を           
          想い出すのは 想い出すのは 北上河原の せせらぎよ
     銀河の流れ 仰ぎつつ 星を数えた 君と僕          
          想い出すのは 想い出すのは  北上河原の 星の夜

     春のそよ風 吹くころに 楽しい夜の 接吻を          
          想い出すのは 想い出すのは  北上河原の 愛の歌
「おいらん松」と「北上夜曲歌碑」 北上展勝地 立花 北上市 岩手県