硯石山から北方 厚樫山・東北自動車道 藤田 国見町 伊達郡
 (前略) 硯石山は風光明媚な景勝の地で、数々のロマンを秘めた、伝説と歴史の山である。春たけなわの季節山頂に立てば、爛漫と咲き乱れる桜や、やや遅れて咲き出す、桃の花の合間からは、文治5年(1189)の8月、奥州合戦に源頼朝が率いる鎌倉軍と、藤原泰衡の奥州軍が阿津賀志山麓で戦った、古戦場の跡を垣間見ることができる。この戦いは閏4月30日に、義経、弁慶主従が、衣川館で泰衡に襲われ謀殺されてから、約100日後の出来事であった。水田を隔てたこの山北側の眼下には、伊達氏の重臣石母田氏の居館で、土塁や水濠遺構が残る石母田城跡、そして宮城との県境をなす長嶺(大峠山)の山々、北西に目を転ずれば、羽州街道の難所とされた小坂峠、半田山など、スケールの大きな眺望は人々を魅了してやまない。  平成17年4月  国見町教育委員会