伊奈の市神様 伊奈 あきる野市 東京都
所在地 あきる野市伊奈一五二七番地
 伊奈村は、中世から近世の初期にかけて、秋川谷を代表する集落でした。伊奈村に市が開かれたのは中世の末といわれています。農具や衣類、木炭などをはじめ、この地域で産出される石(伊奈石)でつくられた臼なども取引きされたと考えられ、伊奈の市は大いに賑わったといわれています。 江戸時代になって江戸城の本格的な建築が始まると、この石の採掘に携わった工人たらが動員されたと考えられ、村と江戸とを結ぶ道は「伊奈みち」と呼ばれるようになりました。 やがて江戸の町が整い、一大消費地として姿を現すと、木炭の需要が急速に高まりました。すると、木炭の生産地である養沢、戸倉などの山方の村々に近い五日市村の市に、伊奈村の市は次第に押されるようになりました。更に、月三回の伊奈村の定期市の前日に五日市村でも市が開かれるようになると、ますます大きな打撃をうけ、伊奈村の人々はこの市の開催日を巡ってしばしば訴えを起こしました。 この祠は伊奈村の市の守り神である「市神様」と伝えられています。地元の伊布石で作られ、側面には寛文2年(1662)の年号が刻まれています。伊奈の移り変わりを見つめてきたこの「市神様」は、地域の方々により今も大切に祀られています。 平成19年3月1日設置 あきる野市教育委員会