西高井戸松庵稲荷神社 松庵3丁目 杉並区 東京都
この神社は旧松庵村の鎮守で祭神は受持命です。 松庵村は万治年間(1658〜1660)に松庵という医者が開いたと伝えられ、安養寺(武蔵野市)の供養塔にある荻野松庵がその人ともいわれています。 境内入口には元禄3年(1690)、元禄6年(1693)銘の庚申塔があり、元禄3年のものには「武州野方領松庵新田」と刻まれています。このことから元禄3年以前にはすでに新田開発の村として開かれていたものと考えられます。 この神社は、明治維新の祭に廃寺となった円光寺(天台宗・江戸八丁堀湊町普門院末)の境内にあったもので『新編武蔵風土記稿』の松庵稲荷の項には「上屋二間ニ二間半内ニ小祠ヲ置社前ニ鳥居ヲ立村内ノ鎮守ニシテ例祭ハ其日定メズ」と記されています。 昭和9年に、隣村中高井戸村の鎮守稲荷神社を合祀以後、西高井戸松庵稲荷神社と称し、同10年には社殿を改築し、今日にいたっています。 社前の五日市街道は江戸時代には「青梅街道脇道」とも呼ばれ、炭をはじめとする生活物資の輸送に大きな役割をはたしてきました。 なお、神社の北側裏手に円光寺歴住の墓地があり、元禄9年をはじめとする没年が記されているのが見られます。 祭日は9月15日です。   昭和57年2月10日 杉並区教育委員会