長山五郎右衛門重行宅跡 山王町 鶴岡市 山形県
出羽三山を巡拝した俳聖松尾芭蕉は、元禄2年(1689)6月10日(今の暦で7月26日)、羽黒山を下って鶴岡城下に住む庄内藩士、長山五郎右衛門重行の屋敷に入った。 芭蕉翁は三山巡礼の疲れからかすぐに休息したが、夜になって曽良・重行・呂丸と歌仙を巻いた。「めずらしや山をいで羽の初茄子」はそのときの翁の発句で、食膳に供されたこの地方の名産一口なす(民田なす)が目にとまったものであろう。 翁は重行宅に3日間滞在し、13日に近くの内川船着き場から川船で酒田に向った。 長山重行は、呂丸や岸本公羽と共に蕉門の俳人として、鶴岡俳壇に重きをなした人物である。重行は元禄13年に屋敷替えになるが、このあたりは今でも長山小路とよばれている。

下: 句碑 めづらしや山をいで羽の初なすび 芭蕉