芭蕉翁は、元禄2年(1689)に大石田を訪れ、新古ふた道に踏み迷いさぐり足している、一栄と川水に俳諧の指導をしました。そして、出来ましたのが歌仙、さみだれを、といわれる一巻です。芭蕉翁は、自ら筆を執ってこの歌仙を書きました。 平成元年は、芭蕉翁が「おくのほそ道」を旅してから三百年にあたりますので、記念として、その歌仙の初折の表六句と各残りの裏六句並びに奥書を二倍に拡大して刻んだ碑を歌仙が巻かれた由緒の地に建立いたしました。 平成元年7月14日 大石田町 | |
表六句 さみ堂礼遠あつめてすゝしもかミ川 芭蕉 岸にほたるを繋ぐ舟杭 一栄 爪ばたけいざよふ空に影待ちて 曽良 里をむかひに桑のほそミち 川水 うしのこにこゝろなくさむゆふまくれ 一栄 水雲重しふところの吟 芭蕉 |
裏六句 雪みぞれ師走の市の名残とて 曽良 煤掃の日を草庵の客 芭蕉 無人を古き懐帋にかぞへられ 一栄 やもめがらすのまよふ入逢 川水 平包あすもこゆべき峰の花 芭蕉 山田の種をいはふむらさめ 曽良 |