那須高原に源を発する阿武隈川が滝をなして乙字の形をしている。水嵩が増した時は百メートルの滝幅いっぱいに落下する水しぶきは、松の緑に映えて雄大である。元禄2年(1689)松尾芭蕉が「五月雨の滝降りうつむ水かさ哉」の句を残し、句碑は滝見不動堂の傍に建っている。昔は川を遡る鱒・鮎・鮭を城主に献上する御用梁場であり、また、阿武隈川舟運のため、滝の北壁を掘割りして舟を通した跡がある。上流には慶長10年(1605)会津蒲生領時代からの浜田用水の横断堰があり、明治38年(1905)より水力発電にも利用されている。北岸の乙字ヶ滝遺跡よりは、旧石器時代の石斧等が出土した。   須賀川市
乙字ヶ滝 須賀川