謡曲「白鬚」と白鬚神社
 謡曲「白鬚」は、白鬚明神の縁起を語って祝言を述べる曲である。 勅使が近江国の白鬚の社に参詣すると、明神の神霊が漁翁の婆で現れ、白鬚明神の縁起を詳しく語り、比叡山が仏法修行の清浄地として、外道魔物を入れない地となった縁起を語る。やがて明神は真の姿を現して楽を奏し、天女も竜神も現れて御代を祝うというのがその粗筋である。 白鬚神社はまた比良明神ともいう。近江最古の大社で、現在の本殿は慶長8年(1603)に豊臣秀頼、淀君が建立し、後に改築された拝殿と一体になって特殊な桃山建築の美を見せている。 背後に比良の連峰をひかえ、鳰鳥がのどかに浮かび、湖面に立つ朱の大鳥居の影が水にゆれる清楚な美しさは、安芸の厳島を彷彿させる。  謡曲史跡保存会
 白鬚神社 鵜川 高島市 滋賀県