延命寺観音堂 平塚 白井市 千葉県
千葉県指定有形文化財
延命寺は真言宗豊山派の寺院で、寺伝によると寛弘二年(1005)の開基とされる。その後幾度か寺地が移動し、元和元年(1602)に平塚村の大火で焼失した後、万治3年(1660)に現在地に本堂が再建されたことが火伏せの札の発見により確認された。また、平成14年12月には第二次大戦で供出した梵鐘が新たに鋳造され、鐘楼も再建された。(中略) 観音堂の構造は、方三間堂と呼ばれる形式であるが、全体に木割が細いことや唐様三手先の組物を巧みに利用するなど、同時期の千葉県内の方三間堂にはみられない特徴を有し、棟札に記載された金沢の大工の手による建築であることを裏付けている。また、屋根は入母屋づくりで、もとは茅葺きであったが、昭和30年に鉄板葺きに、昭和57年には銅板葺きに改められるとともに、建具や縁回りの改修が行われた。 本観音堂は、禅宗様式をとる古建築の作例として、また、他国の大工が建てた遺例として、学術的価値が高い建造物である。 平成15年1月31日   白井市教育委員会