石橋供養塔 石川町2丁目 大田区 東京都

安永3年(1774)に、雪ケ谷村の浄心ら六名の者が本願主となって、石橋の安泰を祈って建てられた供養塔である。石橋は現存しないが、呑川を渡って中原街道を通るため、当時すでに石橋がかけられていたことがわかる。正面に「南無妙法蓮華経」と題目が刻まれ、側面に村内の日蓮宗円長寺の住職日善の署名と花押が刻まれている。このように日蓮宗の色彩を帯びているのは、雪ケ谷村の寺院がいずれも同宗であったという地域的な特色によるものである。石橋供養塔は、他の民間信仰供養塔と兼ねたものが多いが、この塔は石橋の無事と通行人の安全という交通安全だけを目的として建てられたものであり、貴重である。 昭和51年2月25日指定  大田区教育委員会