四方を山々に囲まれた山梨にとって昔から重要な交通ルートであった甲州街道。その甲州街道にあって一番の難所といわれたのが笹子峠です。この難所に開削された笹子隧道は、昭和11年から13年まで国庫補助を入れて28万6700円の工費を投入し昭和13年3月に完成しました。抗門の左右にある洋風建築的な二本並びの柱形装飾が大変特徴的であります。昭和33年、新笹子トンネルが開通するまでこの隧道は、山梨、遠くは長野辺りから東京までの幹線道路として甲州街道の交通を支えていました。南大菩薩嶺を越える大月市笹子町追分(旧笹子村)より大和村日影(旧日影村)までの笹子峠越えは、距離10数キロメートル、幅員が狭くつづら折りカーブも大変多いためまさしく難所で、遥か東の東京はまだまだ遠い都だったことでしょう。昭和前期の大役を終え静寂の中にあるこの隧道は、平成11年、登録有形文化財に指定されました。  大月土木事務所

笹子隧道 笹子峠 笹子町 大月市 山梨県