昭和7年の連句碑
塒(ねぐら)せよわらほす宿の友すずめ
 松江 潮来、(自準亭)
あきをこめたるくねの指杉 
 桃青 (芭蕉)
月見んと汐引きのぼる船とめて
 ソラ (曾良)

この寺は文治元年(1185)源頼朝の開基、寺号を長勝と名づけた臨済宗妙心寺派の古刹である。元禄年間(1688〜1704)伽藍の荒廃を惜んだ徳川光圀は堂宇を修復し、妙心管長をつとめた参禅の師太嶽和尚を中興開山として迎えた。その後、徳川幕府から朱印十石並びに寺領地を与えられている。 老杉林立する稲荷山を背景にした境内は参道も長く、阿弥陀三尊仏を本尊とする仏殿、山門はともに豊かな唐様建築の遺構で禅寺の風格を保ち、また中朱門の中の庫裡・書院等も元禄の建物で水戸家ゆかりの宝物を収蔵している。 寺宝第一の古鐘は北条高時の寄進、元徳2年(1330)の鋳造。中国から来朝して鎌倉円覚寺等に住した清拙和尚が由来を記し、鐘銘中に「客船夜泊常陸蘇城」 の句をおき、中国蘇州を彷彿させる水郷潮来の景観を伝えている。 境内の、頼朝創建の年号に因んだ文治梅と称する古木のもとに俳聖芭蕉の旅人と我名呼ばれむ初しぐれ、の一句を刻した時雨塚、鹿島紀行で地元の自準亭松江との交流を示す連句のいしぶみ等があって一段と風情を添える。 (中興十五世住職 谷 玄明)(以下略) 昭和57年3月 潮来町教育委員会

連句碑 長勝寺 潮来 潮来市 茨城県