大悲山の磨崖仏の一つである観音堂石仏は岩窟に彫りこまれた、十一面千手観音座像であったと考えられている。現在はほとんどが剥落欠損しているが、本来は像の高さ約5.5m、台座の高さ約2mの、堂々とした観音座像であったことが明らかである。千手観音座像の両側壁面には、化物座像多数が薄肉彫りされている。これらは二重円光の光背と台座を伴っていて、賢劫千仏とされる。観音堂石仏は、観音信仰に基づく、平安時代の磨崖仏の一つであり、わが国の仏教美術史上重要な価値を有するものとして、昭和51年、国の史跡に指定された。

  観音堂石仏 泉沢 小高区 南相馬市 福島県