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| 伊香保呂の八坂の井堤に立つ虹の あらわろまでもさ寝をさ寝てば 伊香保の歌が収録さている「万葉集」巻十四は東歌である。東歌とは都の人々が箱根以東の国の歌を指していったものである。 伊香保といっても現在の湯の町伊香保の事ではなく厳秀（いかほ）又は厳穂（いかほ）でいかめしく高く聳える山のことで、今の榛名山を指すものである。八坂の井堤とは船尾滝下のこの一帯をいう。 この歌は、「榛名山にある大きな井堤に不吉な朝虹が現れるように、許されないニ人の間が露見して悪い事態になるかもしれないが、どうなっても仕方がない。 それまで共寝していられたら・・・」と許されない悪におびえながら、それゆえに燃え上がるニ人の恋心を歌ったものである。 不吉な予感と、それだけに今の一瞬を互いにいとおしみ確かめ合おうとする恋人同士の切々たる思いが込められている。 尚、万葉集中で虹の歌はこれ一首のみでありその点からも貴重な歌である。 吉岡町文化協会 吉岡町教育委員会 |