「丹嘉(たんか)」 本町22丁目 東山区 京都市
天下に有名な伏見人形は稲荷山の埴土を以って造った最も古い郷土玩具であります。全国で90余種以上もある土人形のなかで、伏見人形の系統をひかないものはないといわれるほど我国土人形の元祖であり、民族的な美しさを誇っています。即ちその起源はむかしむかし土師部は歴史に名高い野見宿称の後裔にあたる土師氏が、統轄して土器を造っておりました。垂仁天皇の時代に朝廷より土師職に任命されまして、伏見深草の里に住んで土器・土偶(土人形)を創りだし茲に生まれたのが伏見人形であります。稲荷大社の祭事に使われる耳土器をはじめ、お使い姫のお狐さんや饅頭喰い・チョロケン・玉・でんぼ等、お馴染深いものなど現在残っている原型・土型は、30種余り、往時の風俗伝説を人形に表現したものが殆どで、着想の飄逸・奇抜・ユーモアに富んだ面白さ豊かな味そしてその一つ一つににじみでている庶民的な素朴さ、今は外国人の人々にまで親しみをもたれています。一休禅師の歌に   西行も牛もおやまも何にもかも 土に化けたる伏見街道