国重文指定西ノ前遺蹟 舟形 舟形町 最上郡 山形県
日本最大の土偶出土の地
 西ノ前遺跡は、小国川に舌状に張り出した河岸段丘に位置し、中世の楢沢楯の内屋敷といい伝えられた所である。昭和61年国道尾花沢新庄道路の建設工事が計画されたため、遺跡の調査を行った。その結果縄文時代の土器破片や石器を採集し同遺跡の存在を確認した。その後、再度同遺跡の試掘調査を行って、入念な発掘調査が平成4年6月初句から10月始めまで行われた。この結果縄文時代中期(4700〜4000年前)の集落跡で土器や石器・竪穴住居跡・柱穴跡が検出された。大型土偶は、遺跡南側の廃棄物捨楊とみられる沢跡から大量の土器や石器と共に、全体が左足・腰腹・胴・右足など五つに割られてばらばらの状態で、地表1.8m、直径2.5mの範囲から出土した。これを復元したところ、北海道・著保内野遺跡で発掘された土偶43cmを上回る、高さ45cmの国内最大の土偶であることがわかった。この土偶は中期後葉とみられ、すらりとした均整のとれた「日本最大の八頭身美人土偶」「ヴィーナス土偶」と話題を呼んだ。これとこの外出土した頭部や胸部などの土偶の残欠48点とともに、平成10年(1998)6月、国重要文化財に指定され、山形県立博物館に保管されている。また当町歴史民俗資料館に展示されている極めて精巧なレプリカは、山形県教育委員会によって複製された内の一体である。 平成24年(2012)4四月 国宝の指定に答申中。併せて、出土土偶に「縄文の女神」と呼称を統一。撰文 溝口 仁 (舟形町教育委員会)