伝芭蕉の宿桔梗屋跡 市振 糸魚川市 新潟県
この地は、元禄2(1689)年7月12日に、俳人松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の道すがら、一夜の宿をとり、
  
一つ家に 遊女も寝たり 萩と月
の名句を詠んだと伝えられる桔梗屋跡です。桔梗屋は、市振宿における脇本陣でしたが、大正3(1914)年の大火で焼失してしまい、現在はその跡地が残るのみとなっています。 安政3(1856)年に刊行された俳人中江晩籟の句集『三富集』には次のように記されています。
  市振の桔梗屋に宿る。むかし蕉翁、此宿に一泊の時、遊女も寝たる旧地なり。
  
寝覚めして 何やらゆかし 宿の花

良寛もこの地に一宿し、次の句を詠んだといわれています゜
  
市振や 芭蕉も寝たり おぽろ月
昭和50年2月15日  糸魚川市教育委員会