「汐路の鐘」芭蕉碑 能生 糸魚川市 新潟県
越後能生社汐路の名鐘
むかしより能生にふしきの名鐘有。これを汐路の鐘といへり。いつの代より出来たる事をしらす。鐘の銘ありしかと幾代の汐風に吹くされて見へさりしを、常陸坊の追銘とかや。此鐘汐の満来らんとて、人さはらすして響こと一里四面。さる故に此浦は海士の児まても自然と汐の満干を知り侍りしに、明応の頃焼亡せり。されともその残銅をもつて今の鐘能登国中居浦鋳物師某鋳返しけるとそ。猶鐘につきたる古歌なとありしといへとも、誰ありてこれを知る人なし。
  
曙や霧にうつまくかねの聲  芭蕉