芭蕉園 出雲崎町住吉町 三島郡 新潟県

ゑちごの驛 出雲崎といふ處より佐渡がしまは海上18里とかや 谷 嶺のけんそくまなく東西30余里によこをれふしてまた初秋の薄霧立もあへす波の音さすかにたかゝらすたヽ手のとヽく計になむ見わたさるけにや此しまはこかねあまたわき出て世にめてたき嶋になむ侍るをむかし今に到りて大罪朝敵の人々遠流の境にして物うきしまの名に立侍れはいと冷しき心地せらるヽに宵の月入かヽる比うみのお似もてほのくらく山のかたち雲透にみへて波の音いとヽかなしく聞え侍るに
  荒海や佐渡に  よこたふ大河  芭蕉
元禄2年(1689年)この北陸路に奥の細道の行脚をしていた芭蕉は、ここ出雲崎(旅人宿大崎屋)に一泊したといわれている。門人の曽良は「良旅日記」の7月4日の記述の中に「四日快晴、風(中略)同晩、申ノ上刻(午後4時項)出雲崎着宿ス、夜中、雨強降」と記している この夜海辺の窓を押し開けて大宇宙を観じた俳聖芭蕉は天下の名吟「荒海や佐渡によこたふ天河」の霊感を得たのである。
尚、旅人宿大崎屋はここ芭蕉園の真向かいにあり今は民家になっている。  出雲崎町