にしん街道碑 上ノ国町 檜山郡 北海道
松前の伝説の中に、「大蔵鰊」という名高い伝説があります。その昔、上ノ国に大蔵卿という行法堅固な山伏が住んでいました。ある年、五月になってもニシンが群来しないので、村人はこの山伏に頼んで祈祷をさせました。すると、山伏の祈りが通じたのか上ノ国の前浜は大漁に沸いたそうです。 しかし、村人たちは大漁になったとたん群来は自然のものと難癖をつけたので、山伏は怒りのあまり食物をたって死んでしまいました。翌年、ニシンは江差に群来しましたが、上ノ国には群来せず、祟りもあったので村人は恐れて、山伏を神として祀ったそうです。以後、他の村々でニシンが不漁でも、上ノ国では神の効験があって大漁の年もあったそうです。人々はこれを「大蔵鰊」と言って不思議そうにしていたということです。いま、上ノ国に暮らす私たちは、伝説「大蔵錬」に謙虚に学び、地域の歴史や文化を堀り起こし、そして読み解き、未来への確かな手がかりを見つけていきたいと考えています。松前町を起点に海沿いを北に続くニシン街道の一拠点として、飛躍の願いを込め標柱を設置しました。各地域が携えるニシンの歴史と伝統を受け継ぎ、語り伝える千釣の柱。  設置月日 平成20年6月吉日  設置者  上ノ国町観光協会