伊豆石蔵 中野町 浜松市東区 静岡県
この蔵は、明治時代に伊豆半島から切り出された伊豆石で造られた蔵です。江戸時代より、天竜川流域は船運を利用した交易で、伊豆や江戸と繋がっていました。伊豆で採れた石は、火に強い建築材料として、蔵や塀に使われました。これらの建造物は、掛塚をはじめ天竜川筋のまちや、浜松市内にも数多く残っており、当時の交易や繁栄の名残を今に伝えています。この蔵の壁の石は、流れるような縞模様や海を思わせる緑色が美しく、数ある伊豆石の蔵の中でも大変秀逸で貴重なものです。 中野町を考える会
この蔵の伊豆石は、斜交葉理と言われる斜めの模様が特徴です。二階部分の石はやや風化が進行していて、1階とは石質が異なるようです。瓦に刻まれた「○イ」は、かって掛塚で廻船問屋を営んでいた際の屋号だそうで、中野町と掛塚は深い縁で結ばれていました。出入口はアーチの石組み、2階小窓には石の小庇が設けてあります。 静岡県建築士会西部ブロックまちづくり委員会 「伊豆石の蔵調査報告」より