奥の細道・旧羽州浜街道三崎峠 三崎 吹浦 遊佐町 鮑海郡 山形県
松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で、今に残る三崎の古道を門人曽良と越えたのは、元禄2年6月16日(1689年・陽暦8月1日)であった。かねて心にかけていた象潟を訪ねるため、前日酒田を出立したものの激しい雨に逢い、やむなく吹浦こ一泊し、当日も雨であつたが、芭蕉は象潟への期待から雨にもめけす、むかし有耶無耶の関があったというこの難所を越えて行ったのである。タブの木など生い茂る昼なお暗いこの細道を、病弱の身ながら一歩一歩踏みしめて行った様子が今も眼前に浮ぶようである。 象潟の勝景にふれる目的を果した芭蕉が再ひ酒田に帰るため此処を通ったのは2日後の18日であった。この日は快晴で、東には鳥海山がその美しい姿を見せ、西からは快い海風か吹く日であつたという。芭蕉らは行きとは達って足どりも軽くこの峠路を通り過きて行つたのてはなかろうか。  平成7年2月  遊佐町・山形県奥の細道観光資源保存会