伊賀国上野に生まれ、俳号桃青ともいう。芭蕉の号は深川の庵の回りに芭蕉が植えてあったのでそれを号とした。芭蕉俳諧の特色は、日本文学の伝統的要素を新興文学たる俳諧の中に生かしたこと、つまり古い美と新しい美とを融合した点にある。
道のべの 木槿は馬に 食はれけり
道ばたに咲いていた木槿の花は、私の乗っている馬にパクリと食われてしまった。何事が起こったというわけではないが、ついさっきまで咲いていた花はもう影も形も無い。唐突のようでもあり、当然のような気もして、なんだか瞬間に幻を見たような思いである。意識、心情の深さから、平凡な事柄に深遠な悟りにも似た禅機的心象を感じる句である。 注 「野ざらし紀行」中の一句である。  金谷町教育委員会
芭蕉句碑 長光寺 金谷 島田市 静岡県