俳聖芭蕉翁遺跡 塚本如舟邸址標識について 塚本如舟は通称を孫兵衛と云い元禄の頃川庄屋を勤めた島田の名家であり俳人であり好事者でもあった。芭蕉翁は元禄4年10月東下りの際初めて如舟邸を訪れて 宿かりて名を名のらする時雨かな 馬方はしらじ時雨の大井川 などの句を残したが越えて元禄7年5月西帰の際それは芭蕉翁最後の旅ともなったが再び如舟邸を訪れたまたま大井川の川止めにあい4日間も滞在して さみだれの雲吹きおとせ大井川 ちさはまた青葉なからになすび汁 など詠じ更に興に乗じて田植の連句 やはらかにたけよことしの手作麦 の如舟の発句に翁は 田植とともにたびの朝起 と附句し且 元禄年五月雨に降りこめられてあるじのもてなしに心うごきて聊筆とる事になん と後書まで添えた真跡が260年後の今日までそのまゝ塚本家に傅えられたことは何ともあり難い事である。この標識の碑面は其連句の真跡を写真模刻したものである。願うにわが島田の地に俳聖の佳吟が残され又夙くから蕉風の唱えられたのも如舟交遊の賜であった。誠に郷土として永く傅うべき文化史跡というペきである。 昭和28年発已芭蕉忌 島田 早苗会同人誌 |
島田信用金庫前 するがの国に入りて するがぢやはなたち花もちゃのにほひ |