畑宿本陣茗荷屋跡 畑宿 箱根町 足柄下郡
ここ畑宿の本陣は、屋号を茗荷(みょうが)屋と呼ばれた旧、名主の本屋敷跡です。家屋は約70年前大正元年全村火災の折焼失しましたが庭園は昔を忍ぶそのままの姿で残されました。本庭園は、ご覧のように小規模ですが街道に日本庭園として他に無かったようです。畑宿は今から百二、三十年前の江戸時代の中期には本街道の宿場として今より多く栄えた集落です。この本陣をめぐり一般に余り知られていない事柄があります。安政4年11月26日米国初代総領事伊豆下田に於けるお吉物語で有名なハリスタウンゼントが江戸入り途中、ここに休息観賞したことです。ハリスの箱根越えはエピソードが多く大変だったようです。下田から籠で上京したハリスは箱根関所で検査を受けることになった。その際、ハリスと関所側は、検査をめぐってトラブルが起き、下田の副奉行が中に入ってほとほと困り抜いたと云う。ハリスは「私はアメリカ合衆国の外交官である」と検査を強く拒否したことから副奉行がハリスを馬に乗せて籠だけ検査することで関所側と妥協した。ハリスは怒ったり笑ったりで関所を通った。そして畑宿本陣に着いてから彼がはじめて見る日本式庭園の良さに心なごみ機嫌はすこぶる良好になったといいます。