長徳2年(996)頃、紫式部が父藤原為時とともにこの峠を越えたときの詞書と歌 塩津山といふ道のいとしげきを、賎の男のあやしきさまどもして「なおからき道なりや」といふを聞きて 知りぬらむゆききにならす塩津山 世にふる道はからきものぞと 『紫式部集』 (大意)塩津山という道が草木が大変茂っているので輿をひいて荷物を運ぶ人足が、誰もみすぼらしい姿をして、「やはりここは難儀な道だなあ」と言うのを聞いて、 お前たちもわかったでしょう。いつも往き来して歩き馴れている塩津山も、世渡りの道としてはつらいものだということが。 |