庚申塔 吉田 伊豆の国市 静岡県
庚申信仰は、中国より伝わった道教の教えに始まっている。 60年あるいは60日ごとに巡って来る庚申(カノエサル)の日に、地区の人々が庚申塚の前にこ馳走を供え、宿(ヤド)に集まり徹夜をして特殊な禁忌を行う信仰であり、庚申講、庚申待などと呼んでいる。この信仰は、初め朝廷貴族の間で行われていたが次第に武士から庶民へと伝わり、京都・奈良など近畿地方から全国的に広まって行った。室町時代末期(14〜5世紀)になると、庚申さんを宗教信仰の対象として考え、塚を作り塔を建てて祀り、供養するようになった。その形は、単なる石だけのものや土饅頭に塔婆を建てたもの、石に像を刻んだものなど様々である。江戸時代(16〜7世紀)に最も盛んになり、明治時代(19世紀)まで続いた。また、庚申さんは日本神話にある猿田彦命と結び付いている。 12支の中の申を動物の猿になぞらえたもので、さらに猿田彦を刻む庚申塔が道祖神・塞の神として発展し、道行く人の安全を守る神として、村を災いから守る神として多くの信仰を集めたのである。  大仁町教育委員会