宮市本陣兄部(こうべ)家跡 宮市町 防府市 山口県

本陣は、江戸時代に大名や幕府の高級役人が宿泊、休憩に使用した宿です。主要な街道の各宿駅に設けられ、主にその地の有力な家の邸宅が指定されました。宮市宿では,中世から佐波郡一帯の商人たちを統括し宮市の中心的な存在であった兄部氏の邸宅が、寛永19年(1642)本陣に任じられました。寛政元年(1789)兄部家の建物は宮市一帯の大火で消失しましたが、大名などの賓客が使用した書院は萩藩の公館三田尻御茶屋の建物の一部を移築し、酒造業に使われた町屋建物の本家は右田毛利家から木材を受けて再建されました。江戸末期、萩藩によってまとめられた「防長風土注進案」宮市町の項には本陣の建物として本門、書院、火除門、酒造蔵、続酒造蔵、裏門が挙げられ、本陣として、また酒造家としての機能がともにうかがえます。兄部家の敷地は、平成元年(1989)萩往還関連遺跡として書院部分と南側の蘇鉄の庭が国指定史跡となっていましたが、平成24年に防府市指定史跡(昭和44年指定)だった範囲と末指定だった範囲が国指定史跡に追加指定されています。 防府市教育委員会
兄部家は鎌倉時代から続く旧家で、江戸時代には西国の大名が参勤交代の宿として利用しました。本陣には、普通の旅館では禁じられていた屋根門・玄関・床・脇床・違い棚・書院などが設けられ、経営者には苗字帯刀が許されていました。寛永19年(1642)に本陣に定められ、明治維新まで勤めていました。 客舎と蘇鉄の庭が萩往還の関連遺跡として国の史跡に、表門・築地・前庭が市の史跡にそれぞれ指定されています。