中野砂走りの出迎えの松 中野1丁目 広島市安芸区 広島県
広島県指定史跡
旧国道沿いに立ち並ぶこの松並木は、江戸時代の西国街道にかって植えられた街道松の名残りです。胸高幹周 1.2m〜2.4m、樹齢100〜250年と推定されるこれらのクロマツは、それほどの大木ではありませんが、市内に残る数少ない街道松として貴重なものです。 江戸時代になると人や物資の流通が盛んになり、全国的に街道の整備の必要性が高まってきました。そのため幕府は、1604年に江戸を中心とする五街道の整備を行うとともに、1635年に出された武家諸法度の中で、諸大名にも交通運輸施設の整備を命じています。芸備地域では1633年の幕府巡検使の巡察を契機として、急速に領内の交通網の整備が進められました。当時五街道に次いで重要な公道であった西国街道についても、道幅が2間半(約4.55m)に定められその沿道には一里塚や杉、松などの並木が植えられました。当時の旅人にとって沿道の松並木は疲れた身体を癒す憩いの場として役立ったことでしょう。「出迎えの松」の名は、当時参勤交代の責を終えた安芸国の藩主を、家来や村の有志達がこの松のあたりまで出迎えたという言い伝えに由来しています。 昭和61年3月  広島市教育委員会
    写真は昭和6年(1931)当時の松並木