七夜桜はるばるここに北杉田
   やがて都へ帰る身なれば
昔、北杉田村(現・二本松市杉田町)に、美わしい少女と雄々しい少年がおって、二人はいつか人目を忍ぶ仲となっていた。そして、「あの桜の咲く頃に、あの桜の下で、契りを結ぼう」と、堅い約束のとおり桜の樹下に行ったが、現在のように時刻なども明確でなかったためか、相逢うことが出来ないままに次の日も、次の日も通い続け、7日目の夜になってようやく逢うことができて契りを結ぶことができたという。七夜桜の名の由来を語る純情な少年少女の物語りであるが、残念ながら現在桜は一本も残っておらず、ただこの道(以前は二本松城下町に通じる重要道であった)を七夜坂と呼ぶだけとなっている。この名所は、八幡太郎義家のほか、水戸光圀公もいまの岳温泉に湯治にいく折立ち寄り「七色の花が咲き誇る名所」と呼んだとも伝えられている。ここにある歌碑は、藤原実方朝臣の作で、平安時代初期に歌われたもので、 文政9年建立、昭和22年10月再建されたものである。
七夜桜 杉田町 二本松市