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| 正直ナ馬子「馬方又左衛門」 中西又左衛門ハ寛永ノ頃、川原市ノ里正（庄屋）ヲ勤メテイタ。屡々小川村ニ出カケテ藤樹先生ノ講釈ヲ聞イタ。アル時、加賀ノ飛脚ヲ馬デ榎ノ宿（今ノ志賀町和邇）マデ送ッタガ帰宅ノ後、鞍ノ下ニ、二百両ノ大金ガ置キ忘レテアルノヲ発見シテ、夜道ヲイトワズ宿マデ届ケタ。シカモ僅カノ御礼モ受取ロウトシナカッタ。熊沢蕃山ガコノ話ヲ聞イテ感心シ、遂ニ藤樹先生ノ弟子トナッタ。人ノ命ハ短クテモ、ソノ徳ハ亡ビナイ。コノ正直ナ馬子ノ話ハ末永ク語リ伝エラレルデアロウ。 |
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| 正直ナ馬子「馬方又左衛門」 中西又左衛門ハ寛永ノ頃、川原市ノ里正（庄屋）ヲ勤メテイタ。屡々小川村ニ出カケテ藤樹先生ノ講釈ヲ聞イタ。アル時、加賀ノ飛脚ヲ馬デ榎ノ宿（今ノ志賀町和邇）マデ送ッタガ帰宅ノ後、鞍ノ下ニ、二百両ノ大金ガ置キ忘レテアルノヲ発見シテ、夜道ヲイトワズ宿マデ届ケタ。シカモ僅カノ御礼モ受取ロウトシナカッタ。熊沢蕃山ガコノ話ヲ聞イテ感心シ、遂ニ藤樹先生ノ弟子トナッタ。人ノ命ハ短クテモ、ソノ徳ハ亡ビナイ。コノ正直ナ馬子ノ話ハ末永ク語リ伝エラレルデアロウ。 |