ある親孝行の息子が、毎日酒を買って年老いた父親に飲ませ喜ばせていました。ところが、ある日酒を買うお金に困ってしまいました。「父に酒を買うことができないとは、なんて親不孝なんだ。」と、孝行息子はひどく心を痛めながら歩いていると、道ばたの井戸から酒のにおいがしてきました。井戸水をくみ上げ飲んでみると、それはなんと酒だったのです。孝行息子はたいそう喜び、それからは毎日この井戸から酒をくんで帰り父親を喜ばせました。この酒の井戸のうわさは、世間にも知られ、他の人がくんで飲んでもただの水でした。酒の井戸があることから村の名も「酒々井」と呼ばれるようになり、この碑が記念として建てられたと伝えられています。 注 この碑は下総式板碑といわれ、鎌倉時代から室町時代に盛行した供養碑であります。碑面をよくみると、蓮花と梵字キリークがあります。  昭和60年4月   酒々井町教育委員会
伝説酒の井碑 酒々井町 印旛郡