垂井の泉・芭蕉句碑 垂井町垂井 不破郡 岐阜県
 この泉は、県指定の天然記念物である、大ケヤキの根元から湧出し、「垂井」の地名の起こりとされる。「続日本紀」天平12年(740)12月条に見える、美濃行幸中の聖武天皇が立ち寄った「曳常泉」もこの場所と考えられており、古くからの由緒がある。近隣の住民たちに親しまれる泉であっただけでなく、歌枕としても知られ、はやく藤原降経は
  
昔見し たる井の水はかはらねど うつれる影ぞ 年をへにける 『詞花衆』
と詠んでいる。のちには芭蕉も
 
「葱白く 洗ひあげたる 寒さかな」   という一句を残している。 岐阜県名水五十選(昭和61年)に選ばれている。
 この大ケヤキは、樹齢妁800年で、高さ約20m、目通り約8.2m。このようなケヤキの巨木は県下では珍しい。この木にちなんで、木が堅くて若葉の美しいケヤキを垂井の「木」とした。