忘れ井 市場庄町  松阪市 三重県

宝暦元年(1751)建立
別れゆく 都の方の恋しきに いざ結びみむ忘井の水
この和歌は、斉王群行に同行した官女甲斐の詠んだ歌である。 古代、天皇の即位ごとに伊勢神宮の斎宮(多気郡明和町)へ斎王となる皇女が派遣され、その行列を斉王群行と言った。 天仁元年(1108)のト定(占いの儀式)により天永元年(1110)9月に群行が催された。官女甲斐は、伝説上の斎王を除き、大来皇女が斎王に選ばれてから435年後の斎王、姁子内親王(在任期間1108-1123)に従って壱志駅家(現松阪市曽原町付近とする説と松阪市嬉野宮古町付近に当てる説とがある)の頓宮に一泊し、この忘井を通った際、都を離れはるばると伊勢の地に来て、望郷の念やみがたく涙とともにこの歌を詠じたといわれている。  2006年11月17日   松阪市教育委員会